日本の歴史上の人物に対して、その人はどんな業績を残したか。
という問を、小学校6年生に行ったそうだ。
この調査自体は、単に「誰」が「何をした」という
個人と業績に結びつけるだけの用意された1対1の組み合わせに対する正解率を発表しているにすぎず
歴史認識が浅いとか、
ましてやそれで教育がどうのこうのと議論する素材にしようとするのは筋違いだと思う。
歴史の業績というのは、1個人でなされたものは稀少と言っていいかもしれない。
そもそも、それだけの事を「知っている」
というのはどれほどのレベルの事を言うのか。
もし名前だけ、業績だけは知っているという程度の事なら、
それは歴史でも何でもない。
「関係するものを線で結びなさい」出題みたいに、
こういう1対1の単なる暗記ゲームの結果発表は、
歴史を作った人たちに失礼だ。
知っている、知っていないという事だけで
記号化して暗記することが歴史の目的ではない。
ワースト3には明治の新政府に対する正答率とのこと。
そもそも幕末から明治にかけては、改名する人も多く、
しかも歴史の経緯が短期間に複雑に揺れ動いた時期。
本当はじっくり学ぶべきところを
学校の授業も、3学期加速時期に入っていい加減になりがち。
明治維新について言えば
結果として、幕府から明治政府になったと言っても、
その経緯は短期間ほんの数年間のうちに激動変遷した時代。
その中にはいろんな思想、思惑が複雑に絡みあっている。
事実を知るという事とともに、
なぜそうなったのか。
いろんな事情がどう関係したのか
それらの事実を積み重ねて織り交ぜながら
自分なりにいろんな考えを持つ。想いを巡らす。
また、現在事実だとされていたことが
新しい史料の発見で覆ることだってある。
歴史は、人が生きていくための、過去の人たちが作り出した今なお生きている大事な素材。
そして限りなく周辺事情の裾野は広い。
だからこそなおさら、
そんな単純暗記式で歴史を片付けるのは本当に危険。
新政府の中心になった人たちは、あの激動の中を生き残ったのだ。
彼らには実はさまざまな階級出身で無数の同志たちがいた。
それらの多くの人たちのどれほどの無残な犠牲があったのかも知るべきである。
どういう経緯や思想があったのか。
どんな意外な事件があったのか。
マスコミがいかにもそれらの結果に嘆くように報道するなら
小学校6年生諸君は
これからどんどん掘り進めて勉強すればいい。
司馬遼太郎氏の本などを読み漁ってみればいい。
ただし、その中で
歴史の記号化教育という、
お粗末で不幸な教育現場だけには遭遇しないことをただひたすら祈る。
我々もこういうお粗末で意味不明のマスコミ報道によって
短絡的な「知名度クイズ歴史」にならないようにしたい。


